三十年代末から四十年代にかけて活躍し
アメリカのオーデンといわれたが
”フンボルトの天才”は四十歳で燃えつきてしまい
かれの名は雑誌やアンソロジーでさえめったに見かけなくなる
(私が忘れてしまうのも無理はない)
「蛇の穴」と称して大学にもぐりこみ 教鞭をとったこともあるが
エゴセントリックで報復的だったためか同僚にはうとまれていたらしい
アルコールと麻薬に蝕まれた生活で
アメリカ社会における成功の蔭にある失敗のさまざまな痕跡が
彼の肉体に刻まれていき
ニューヨークの屍体置場までつづくのである
ところで 日本の社会の日蔭を歩む
われわれのコーネリアスは いまどこにいるだろう?
制度の春を病むこともなく 不確定性の時代を生きて
自殺もせず 狂気にも陥らずに
われわれのコーネリアスはどこまで歩いていけるだろう?
口誦さむ一篇の詩がなくて!